ディックフランシス

http://www.asahi.com/obituaries/update/0215/TKY201002140319.html

D・フランシス、大学時代のある時期、読む本は彼ばっかりでした。本屋で買ったものもあれば、大学の図書館で見つけたもの、古本屋で出会ったものもありました。
結局は単行本でひととおり揃えて、それぞれ2回以上は読んだと思いますが、読んだ本は人にあげるかブックオフに持っていくのが基本の僕が、本棚に全部残しています。
彼の作品を読んでいる時のワクワク感と、ある種予想できる期待を裏切らないエンディング。変に小細工せず、かといって単純でもない、まさに読んでる人を楽しませる作品だった事を思い出します。よくよく考えると、僕の中にある「かっこいい」行動や物言いのイメージは、ほとんど彼の作品の世界のマネのような気がします。


ところで、彼の作品については奥さんのことと合わせて語られることも多いです。奥さんがいろんな調査をして協力していたとか、校正をしていたとか、ストーリー構成まで考えていたとか、はてはゴーストライターだったとか。奥さんを共著にしようとしたけど彼女が断ったとか。もちろん、僕にはどこまでが噂で真実なのか分からないです。


初めてこの手の噂を聞いた時は、確かにちょっと驚きましたが、それと同時にユーミンが言ってたセリフを思い出しました。正確には覚えていないのですが「"ユーミン"っていうのは作品なのです。正隆さんや他のスタッフみんなの作品。松任谷由実はその一部」というような感じだったと思います。
スポーツの世界でも、水泳の北島康介が自分のチームについて語る時に「チームで作り上げるもので、自分だけの体ではない」というようなことを言っていました。
さっき読んだ上村愛子のブログにもありました。

- : 上村愛子オフィシャルブログ
皆で力を合わせて、皆でおんなじ目線で
一つのゴールに向かって頑張る過程、
自信を持って全力で戦えることが
なんて素晴らしい事なんだろうと思いました。

彼女も「一人で滑ってるんじゃない」と考える人だったようです。

D・フランシスの作品も「彼だけ」の作品ではなかったかもしれないです。でも、それで作品の評価が変わるものでもないですし、むしろ「彼だけ」じゃない方がよけいに素晴らしいものに思えてきます。奥さんや他の人と一緒に作り上げてきたのであれば。
久しぶりに読んでみようかな。